成都の人民病院で三日間点滴をした話

成都第三人民医院

九寨溝、黄龍、松潘、岷山山脈の奥地からバスで3,000m下って一週間振りに真夏の成都に戻ってきたら、その翌日から高熱で、さらに夜も眠れないほどお腹を壊してしまった。日本を出て旅を続けながら3ヶ月半、初めて不安になるほど体調を崩し、宿のベッドとトイレを往復するだけで3日が経つ。さすがにヤバいので病院へ行くことにした。宿の中国人スタッフが、全く日本語がわからないのに病院まで一緒に着いて来てくれた。

宿のオーナーに教えてもらった成都第三人民医院までタクシーで向かう。医師との診察は筆談。「拉肚子」(ラードゥーズ)と書いておいたメモを見せるなどしてなんとか症状を伝えると、血液検査をすることになり、窓口に差し出した指先から採血した。結果はウイルス感染による胃腸炎。症状がひどいため三日間点滴に通うことになった。

病院内で購入した500ccの5%ブドウ糖液を若い看護師(医学生?)に手渡して、少量の抗菌薬と一緒に手の甲から点滴する。人生初の点滴が中国の病院なので不安だったが、これで良くなると思うと気持ちが楽になった。同じ病室には点滴をしている人が4人いて、皆、しんどそうだった。病室はエアコンが壊れていて、代わりに扇風機が回っていた。

二日目の点滴中にバンコクの紀伊国屋で買った「ダライ・ラマ自伝」を読み終えた。この本を読んでチベットの歴史やチベット仏教、近代の悲惨な歴史について深く知ることができた。

三日間の点滴で1.5リットルの5%ブドウ糖液が投与され、体も気持ちも回復したが、旅行保険にも入っていないので治療費が心配だった。三日間で払った内訳は、内科の診察費が7元(約110円)、点滴代が301元(約4,800円)、治療費が93元(1,490円)と、思っていたより安かった。

中国では、外国人が外資系のクリニックに受診するとただの風邪でも1,000元するらしいので、人民病院で良かった。僕は旅行保険よりカメラ買うことを優先したが、長期の旅では何があるかわからないので保険には加入しておいた方がいい。