寝台バスで桂林に到着。中国人男性に出会い一緒に観光する。

昨夜、深圳を出発した寝台バスに12時間揺られ、朝7:30の桂林に到着した。中国の南に位置する広西チワン族自治区の北東部に位置する桂林は、カルスト地形の景勝地として有名な人口500万人の都市。日本人はケイリンと言うが、桂林はグイリン(Guilin)と読む。


寝台バスがトイレ休憩で停車した際、バンコクで旅に合流したケンが一緒にタバコを一服した中年の中国人男性と親しくなっていた。閻(エン)という名の桂林生まれの男性は、北京大学を卒業後、日本に留学して福岡の大学院で学んでいたことがあり、日本語がペラペラだった。


桂林では、朝ごはんに桂林米粉(グイリンビーフン)を外で食べるのが一般的らしく、タクシーで地元で人気の「石記米粉店」という店に閻さんが連れて行ってくれた。タレでかき混ぜて食べるシンプルな麺料理だが旨かった。あっさりした味は朝食にちょうどいい感じだった。桂林ビーフンは、桂林を発祥に中国全土で食べられているとのこと。


桂林に着いてから泊まるホテルが決まっていなかったので、閻さんが「桂林天鵝賓館」(Guilin Swan Hotel)というホテルの知り合いに連絡して手配してくれた。おかげで外国人料金だと一泊680元(約10,600円)のところを250元(約3,900円)の人民価格でチェックインすることができた。このホテルのマネージャーが閻さんの妹の婚約者なんだそう。
「今日の午後、桂林を案内しますよ」と閻さんが言うので、「ホテルの手配をしてもらった上にそこまでしてもらうのは申し訳ないです」と言ったら、「日本に留学中は日本人が親切にしてくれた。日本語の勉強にもなるから一緒に観光しましょう」と言う。それを聞いて是非お願いしようと思った。

午後、ホテルに迎えにきてもらって、まずは腹ごしらえに、地元の人が食べる街角の即席飯屋へ。その場で料理されたものを店の前に並べられた小さなテーブルで食べる半屋台的なスタイル。何でも作ってくれるそうなので、ベタに青椒肉絲(チンジャオロウスー)を頼んだら過去一に旨かった。即席でパッと作ってすぐ出てくるのに旨い。中華料理の凄みを知った。ちなみにご飯は小さな土鍋で炊き立てを提供していた。

国家AAAA級景区に指定されている「独秀峰・靖江王城景区」の近くまでタクシーで移動。中国では観光地に等級が付けられていて、A級からAAAAA級まで5段階で評価されている。国が観光地をランク付けしているというのは面白い。

ガソリンバイクが条例で禁止されているので、桂林の市街地を走っているバイクは全て電動バイク。電動バイクは2,000元(約31,000円)から買えるそうだ。



「独秀峰(ドゥーシウフォン)」に登ると、カルスト地形の山に囲まれた桂林市内を一望することができた。閻さんは若い頃、桂林で日本人相手にガイドの仕事をしていたので、桂林の歴史や暮らしを日本語で説明するのが上手だった。


桂林のチワン族の伝説的な歌い手「劉三姐」(リウ・サンジエ)の名前を掲げた「劉三姐大観園」というB級スポット的な観光地に行った。例の評価では国家AAA級だ。



べトナムや雲南省と接する広西チワン族自治区は、漢族、チワン族、漢族、ヤオ族、ミャオ族、トン族など12の民族で構成されている。劉三姐大観園では、民族の伝統文化を体験することができる。

髪を伸ばす習慣のあるヤオ族の女性が、長い紙を折りたたんで頭に乗せる実演をしていた。同じ中国人の観光客が全く文化の異なる同じ国の別の民族を見ている光景を見て、中国が多民族国家ということを実感する。


劉三姐大観園は、さながら民族テーマパークと言った感じ。中国人観光客ばかりで外国人は僕ら以外にいなかったので、アウェーで面白かった。




劉三姐(リウ・サンジエ)の話をネタにしたと思われる歌と踊りのショー。言葉はわからないが完成度の高いショーだった。高音のウィスパリングボイスで鳥のように歌う「山歌」が古き良き中国を彷彿させた。ショーが終わった途端、皆が一目散に出口に向かっていく様子がなんとも中国っぽいと感じた。

劉三姐大観園では闘鶏が行われていた。闘鶏を初めて観たので、闘争心剥き出しで闘う鶏の迫力に驚いたが、ここでは大人も子供も見慣れた感じで楽しんでいる。お金を賭けている人もいて白熱していた。闘鶏は皆で笑って楽しむものだと知った。



中国の国家歴史文化名城に指定されている桂林では、市内を流れる漓江(リージャン)を船で下るツアーが人気だ。閻さんは、観光客用の船は混雑しているから小型ボートをチャーターして漓江下りをしたほうがいいと言って、知り合いに頼んで小型ボートの手配をしてくれた。そして、明日の漓江下りに着いてきてくれることになった。

中国将棋のシャンチーをする男たち。半裸だったり、シャツをまくって腹を出しながら、とてもゆるい感じで真剣にやっている。歩道でも公園でも中国将棋をやっている人が桂林にはたくさんいた。


初めての中国、どう旅をすればいいか何もわからず不安だったが、閻さんに出会ったことで、濃くて楽しい一日になった。
旅をしていると、たまたま同じ宿だったり、同じバスに乗り合わせていたりで、たくさん人と出会う。後になって一期一会の出会いが大切なものになるというのは、旅の醍醐味のひとつだと思う。