四川省の山奥にある黄龍(ファンロン)、富士山の9合目の高さにあるカルストの渓谷
四川省アバ・チベット族チャン族自治州の黄龍風景区は、古代中国で皇帝の象徴とされた「黄龍」の名が付けられた岷山山脈の峡谷エリア。野生のパンダやキンシコウの生息地として生物保護区に指定されている。九寨溝とセットで訪れる人も多い。早朝の松潘ぼバス停から黄龍行きのバス(24元)に乗り込んだ。
バスは途中、冬の間は雪で閉ざされる標高3,840mの峠を越える。森林限界を超えた高地の早朝の山肌、少数のヤクが群れて草を食み、背後には真夏でも雪を抱く岷山山脈の最高峰、雪宝頂(5,588m)がそびえる。
朝8時、黄龍のバス停近くの小吃(シャオチー)でアツアツの水餃子を食べる。バス移動で冷えてしまった体が温まった。
黄龍風景区に入ったら、黄龍の入口(海抜3,200m)から最奥部にある五彩池まで4km以上歩いて登る。低地の3分の2まで酸素濃度が減るため風景区内では携帯用の酸素ボンベが売られていた。
岩肌を這うように流れる黄色い川は金沙舗地と呼ばれる川。太陽の光で金色に輝いていた。
黄龍は、UNESCOの世界遺産にも登録されているカルスト地形の景勝地で、中国語で黄龙(ファンロン)、チベット語では、གསེར་མཚོ།(セルツォ)と呼ばれる。
遊歩道を歩いて上流にいくと、川は段々畑のような地形(石灰華段)に変わり、池に水が留まるようになる。
透き通った水がエメラルド色に輝いていた。
玉翠峰(5,160m)を背後に建つ中寺は、1368年から1644年まで続いた明の時代に建立されたチベット仏教の寺院。
黄龍にはチベット仏教の寺院以外にも道教の寺院もあって、今もそれぞれの聖地として祈りが捧げられている。
カルストの石灰岩から溶け出した炭酸カルシウムが乳白色の結晶体として湖底に沈殿し、エメラルドや乳白色の数千にも分かれた湖を作り出している。
入り口から約3時間かけて最も奥の五彩池(標高3,553m)に到着した。
五彩池の全景。富士山の9合目の高さでも木が生えている。
雪解け水の多い夏の黄竜。冬はマイナス10℃まで冷え込み、夏でも平均気温が10℃という高原湿地帯の植物。
最深部の五彩池の近くにある鍾乳洞。
黄龍風景区の全体像。
復路は昨年(2006年)に開通したロープウェイで一気に谷を降りた。朝5時に松潘からバスに乗り、空気の薄い山を登って、再び松潘に戻ったのは夕方17時、黄龍はタフな観光だった。