森の中の寺院ワット・タモとルアンパバーン様式の美しい寺院ワット・シェントーン
プーシーの丘と呼ばれる山の中の森に、ワット・タモという寺院があったので、あまり情報のない場所だが行ってみる事にした。山の麓に僧坊が見える。上座部仏教の国ラオスでは、男性は出家して僧となる慣習が続いているので、寺院の境内に僧坊がある場合が多く、お寺は僧たちの集団生活の場となっている。
ワット・タモの境内から見えるルアンパバーンの原風景。カーン川方面はあまり開発されておらず、緑豊かな熱帯の山のジャングルの光景が広がっている。
境内から眺める大河メコンとルアンパバーンの街並み。メコンの淀んだ川の色は汚れているのではなく元々の川の色。太陽の光で金色に輝くと形容されるが、河原を覗き込むと砂金が手のひらに乗るくらいキラキラしていたので、本当に輝いているんだと思う。
山の中の境内は静かで僧の姿もそれほど多くない。岩山にくっつけて建てられた石壁の僧坊がナチュラルでいい雰囲気だ。緑豊かで景色も良い。ここでしばらく学べるなら最高の環境だと思う。
ワット・タモの岩窟に祀られた仏像プラ・サンガッジャーイ。カッチャーヤナ、日本では迦旃延(かせんねん)と呼ばれる釈迦(ブッダ)が生きていた頃の弟子のひとり。ガンジス川中流域で釈迦の教えを広めた弟子だ。
ワット・タモの境内には、生まれ曜日に対応する大きな仏像がある。日本人は自分の生まれた曜日を把握している人は少ないと思うが、東南アジアの仏教国では、生まれた曜日を大切にする習慣がある。それにしてもラオスの仏像はどこかコミカルで愛嬌のある顔が多い。
ワット・タモの裏口から出て、ルアンパバーンの中心部へ抜けた。近くの小学校の放課後の校庭では子供達が木登りをしていた。日本だとあの高さまで登る度胸のある子供は少なそう。女の子たちは伝統衣装のシンという腰巻を身に付けている。
メコン沿いのルアンパバーンのメイン通りの一番奥、川の合流地点にあるワット・シェントーンは、ラオスで最も美しいとされる寺院。ワット・シェントーンは、1560年にランサーン王朝のセタティラート王の時代に建立。優雅に湾曲した屋根が幾重にも重なるルアンパバーン様式で建てられている。
ワット・シェントーンの壁や柱は金で細かな絵柄や模様が描かれていて非常に美しい。また、内壁や寺院の裏の壁には、細かいパーツとグラデーションでモザイクが描かれていて賑やかだ。かつてこの町に立っていた巨木がモチーフだったり、仏教の物語を表現していたりする。
世界遺産の古都で一番美しい寺院とされるワット・シェントーンだが、境内では地元の子供がうろちょろしていたり、男たちが木陰で昼寝していたりと、緩くて心が柔らかくなるような雰囲気だ。お寺で昼寝できるラオスはいい国だと思う。暑い午後の日差しの下に僧の叩くドラの音が響いていた。