バラナシ到着の翌朝

夜のバラナシに到着した翌朝、安宿のベッドで目を覚まし、裸足で階段を登って屋上に行くと、すぐ向こうにガンジス川(ガンガー)が流れていた。対岸が遥か遠くにあり、想像していたよりもずっと広大だった。

12月の北インドは乾季。モンスーンが終わって数ヶ月が経過しているため、ガンガーの水位はかなり下がっているそうで、対岸には広大な砂州が現れていた。乾いた空の下に流れるガンガーは穏やかで、遠くから行き交う船を眺めていると、時間までゆっくり流れているような感覚になる。

バラナシは5000年以上の歴史を持つヒンドゥー教の最大の聖地。インド中の人々がこの町にガンジス川を拝めに巡礼に訪れるそうで、船には、巡礼にやってきたインド人が大勢乗っていた。

屋上でガンガーを眺めながらヨガの太陽礼拝をした。二日前までは、ポカラの宿の屋上でヒマラヤを眺めてヨガをしていたので、目の前の景色が強烈だった。

インドルピーを朝飯代すら持っていなかったので、現金を引き出すためATMを探しに出かけた。宿の外では二頭の牛がゴミをあさっていた。

少し歩くと路地の奥からも牛が歩いてきた。ネパールの街中にも牛はいたがバラナシは牛の数が多い。バラナシ旧市街だけでも数千頭が生息しているそうだ。

宿の近くにはATMが見当たらず、昨夜リクシャーを降りたゴードウリヤー交差点まで歩いた。リクシャー、オートリクシャー、自転車、バイク、馬車、牛、そして、サンダル履きの人々が、信号機もない道を平然と流れている。
「ジャパニ、ドコイクノ?」
リクシャーワーラーに日本語で声をかけられ、断ると、今度は別の男が満面の笑みで日本の100円玉を見せながら、
「チェンジマネー?」
と、両替を持ちかけられ、のすぐ後には、また別の男に、
「フレンド!ハッパ? ハシシ? グッドクオリティ!」
と、ニコニコで話しかけられる。
朝のバラナシの町は混沌としていて、さっきまで眺めていたガンガーの光景とは別世界だった。しばらく歩いてようやく見つけたATMで、とりあえず、4,000ルピー(約12,000円)を引き出して宿に戻った。
ポカラから26時間かけて移動してきてから何も食べていなかったので、お腹を満たすため、安宿の近くのMonarisaという店に入った。無難にハニートーストとオムレツ、チャイを注文したが、運ばれてきたのは30分以上経ってからだった。