フエの帝廟遺跡、グエン朝歴代皇帝の陵墓をボートで巡る
フォン川沿いのグエン朝の歴代皇帝の陵墓を巡るボートツアー(1人5USドル)をゲストハウスで申し込み、朝8時に迎えに来たバイクタクシーで船着き場へ移動した。船首に龍が描かれたボート(通称ドラゴンボート)が何艇も停泊している。
フォン川(香川)は、ラオスとの国境付近の山岳エリアから南シナ海まで流れる全長67kmの川。穏やかな川を進むボートからは、周辺で暮らす人々の生活を垣間見ることができた。
ボートを降りてトゥドゥック帝廟へ行くため、待機していたバイクに乗って進む。
広大な森の中にある4代皇帝トゥドゥックの帝廟は、グエン朝で一番在位の長かったこの皇帝の別荘としても使われていた。池の周囲にお堂や楼閣などが建ち、ベトナムのアイデンティティを感じるような遺跡だ。フエ市内の喧騒から逃れた静かで美しい場所だった
次に訪れたのは2代皇帝ミンマン帝廟。西洋文化を廃止し儒教的な思想を重視した皇帝だったため、中国の明や清を陵墓を参考に建てられているそう。穏やかな自然の中でも緊張感のある雰囲気が建造物から感じられ、当時の皇帝の威厳を物語っているようだった。
最後に訪れたのは、12代皇帝カイディン帝廟。1920年から建設が始まり、カイディン帝の死後1931年に完成した遺跡だ。当時のベトナムはフランス領インドシナとして占領下に置かれていたため、政治的に無力で、フランスの影響を大きく受けたカイディン帝の帝廟は、これまでの皇帝のものとは異なる奇抜なものとなっていた。
ボートを乗り降りしながら、炎天下を長時間歩くので、半日でも体力的にキツいツアーだった。歴代皇帝の7つの帝廟は全て世界遺産に登録されているが、内戦で破壊されていることもあり、見応えがあるのは、今日回ったトゥドゥック、ミンマン、カイディンの帝廟とのこと。
昨日から二日間かけて、南北を初めて統一してから143年間も続いたグエン朝の遺産を見てきた。第二次世界大戦でフランスが降伏した後は一時的に日本軍も進駐していたが、日本の降伏でグエン朝も終焉を迎え、ホー・チ・ミンによりベトナム民主共和国が誕生した。長い歴史の一部分を見ただけだが、旅をしながら過去を知り、世界が広がるというのは面白い。