香港到着、チョンキンマンションに泊まる
バンコクから夕暮れの空を飛んできた飛行機は、すっかり暗くなった香港上空を旋回しながら光のなかへ降り、定刻通りに香港国際空港に到着した。香港は中国の特別行政区だが、ひとつの国として数えると、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオスに続く旅の5ヶ国目。入国手続きを終えて、1時間前のフライトで一足先に香港入りしていた友人のケンと到着ロビーで合流した。
ホテルの予約もせず、ガイドブックも持たずに香港に来たので、チョンキンマンションという雑居ビルに安宿があるという情報を頼りに、市内へ行く2階建てバスに乗った。バスから眺める香港の街並みは、高層マンションが所狭しと林立していてシムシティというゲームのよう。バスが九龍半島のメイン通りネイザンロードに入ると、頭上を埋め尽くすように漢字の看板が派手に光っている。親切なバスの運転手がチョンキンマンションの前で降ろしてくれた。
香港の繁華街のツィムサーツイ(尖沙咀)にあるチョンキンマンションは、17階建ての巨大な雑居ビル。中には多数の安宿や安食堂、両替屋や携帯が入っており、世界中からの出稼ぎ労働者が集まっている。特にインド人やアフリカの人が多い印象だ。エレベーターの前で客引きをしていた若いインド人に紹介された重慶旅舎(Chung King Lodge)という安宿にチェックインした。いかにも香港っぽい名前だが実際はインド人が働いていた。TV、エアコン、シャワー付きの部屋が150香港ドル(約2400円)だった。部屋は汚くて狭いが、移動で疲れていたし夜も遅かったので、数日間の寝るだけの部屋と考えたら他を探す気にはなれなかった。
チョンキンマンションには、アフリカやインドから出稼ぎ労働者が多く宿泊していて、ロビーでエレベーターを待っていると周りが全員アフリカ系だったりする。チェックインしたゲストハウスのスタッフはコルカタから出稼ぎに来ている24歳の青年だった。